岡山県産業会館のオールド送水口

岡山県産業会館(岡山市北区田町1丁目3−1)は昭和31年竣工。このビルの1階西側に古い送水口が付設されている。この送水口は非常に珍しく貴重なもので、送水口ファン(そういう人たちがいるんです)の間で話題になっている。東京からこの送水口を鑑賞しに来た人もいるほどだ。

この送水口の、どのあたりが珍しく貴重なのか。まず「SIAMESE CONNECTION」というアルファベット表記。送水口の表記は、昭和36年の消防法施行令により「送水口」と漢字書きに統一された。だからアルファベット表記の送水口はかなり古いもので、したがって現存数も少ない。

ちなみに漢字表記以外では「SIAMESE CONNECTION」の他に「サイアミーズ コネクション」「サイヤミーズ コネクション」「STANDPIPE」がある。

次に、逆三角形型の飾り板。このタイプの飾り板は、現存するものとしては日本国内で5基しか確認されていない。岡山県内では唯一の逆三角形型だ。しかも「SIAMESE CONNECTION」表記で、かつ逆三角形型の送水口は、全国で現存2基のみ。

そしてこの送水口のもっとも珍しい点は、「HARUNA」という謎の表記である。このような表記が入っている送水口は、今のところ他では確認されていない。唯一のものだ。HARUNAがいったいなんなのかも、判明していない(メーカー名である可能性が高いが断定できない)。

付設当初はピカピカに輝いていたはずの送水口が、60年以上のときを経て、いい感じに緑青をまとっている。いわば「熟成」である。ウィスキーやワインと同じように、歳月にしかつくることのできない味わいがある。

岡山県産業会館は廃止が決定しているそうだ。いずれ建物も解体されるのだろうか。これほどの貴重な送水口がなくなってしまうのは残念。今のうちにじっくり鑑賞しておこう。
*取材協力/ウェブサイト「送水口倶楽部」管理人 AYA様

(text&photo 内海)

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